みなさんこんにちは!
今回は、【やさしい哲学】シリーズ第2弾です!
シュルレアリスムの回に少しだけ名前が出てましたね。
まだ読んでいない方はこちらからご覧ください。
では早速始めていきましょう!
We are 共産党!『マルクス』
トリール(ドイツ)出身 主著:『資本論』 共著:『共産党宣言』(エンゲルス)
社会構造
マルクスは、ヘーゲルの哲学を修正し、発展させる方向で自らの学説を展開しました。
進歩史観に強く支持しましたが、”絶対精神”という理想に関しては疑問を呈しました。
*前回の投稿で、ヘーゲルの哲学思想について紹介しているのでそちらも併せてご覧ください。
まず社会は、政治や法制、イデオロギーという上部構造と経済という下部構造で成り立っていると考えます。
そして、世界を進歩させるのは”絶対精神”ではなく経済構造の持つ”生産力(物質)”であるとし、それによって上部構造の意識が形成されていると考えました。このような考え方を、”唯物史観”と呼びます。
歴史的な社会形成のプロセスは、ヘーゲルと近似しており下図のように遷移していくと考えました。
共産主義
このプロセスにある資本主義社会では、ブルジョワジー(有産階級者)が生産手段を独占していると考えます。
生産手段とは、労働対象(土地、森林、水域、地中埋蔵物、原料など)や労働手段(生産用具、生産用建物、交通、通信手段など)のことを指します。
ここで、ヘーゲルとの弁証法的プロセスにおける視点の違いを見ていきたいと思います。
ヘーゲルは、「人間の精神の動き」を基準に見ていましたが、マルクスは「物質的なものの動き(お金の動き)」から見ることを試みました。
例えば、Aくんの労働の対価として得た野菜をBくんのチーズと交換する場合、お互いに欠かせない存在であることを確認し合います。それは、ヘーゲルの「人倫」という考えに見出されます。単に物々交換しているわけではないということです。
しかし、労働は賃金という「お金」に還元されます。すると、野菜とチーズの交換は、単にお金に還元された「価値」を交換しているに過ぎなくなります。そこに、「人倫」を築くことはできません。
そして労働は、お金を得るための手段(労働力商品)としてブルジョワジーに支配されています。
本来ならば人間を豊かにする労働が、なんの豊さも生まない労働による労働になってしまっているのです。
ブルジョワジーは、土地や資本や労働から付加価値を得ることができることから、労働の付加価値を高めようとします。要は、労働者を増やし低賃金、長時間労働による搾取をするということです。
そうなると、ブルジョワジーとプロレタリアート(労働者階級)との間の格差がだんだんと広がることになります。
これを解決するために、生産手段を公有化すべきであるという意見が出てきます。
しかし、ブルジョワジーが黙って公有化を認めるはずはありません。
そこで起きるのが、”階級闘争”だと考えました。
もし、プロレタリアートが勝利したならば、公有化によって社会主義国家が形成され、さらに世界的に勝利すれば、やがて共産主義の世界になります。それが、世界の進歩だと考えました。
これを、”革命理論”と呼びます。
このようなマルクス主義思想は、大規模な共産主義運動となってロシア革命や中華人民共和国の成立などに寄与しました。しかし、既に明らかなようにマルクスの言うような変化のプロセスが進んだ所はあらず、むしろマルクスの構想とほど遠い社会が生まれています。
ということで、いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました!
もし分かりにくい点やここちょっと違うよという点などありましたら、コメントに書いていただけると今後の参考になりますのでよろしくお願いします。
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次回予告
【やさしい美術史】第3弾 美と崇高『抽象表現主義』
お楽しみに!
参考文献
『哲学と宗教全史』(出口治明、ダイヤモンド社)
『図解いちばんやさしい哲学の本』(沢辺有司、彩図社)